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和ジャズのすすめ~日本人ジャズの名盤・オススメの1枚
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和ジャズのすすめ~日本人ジャズの名盤・オススメの1枚

ジャズという音楽ジャンルに興味がない方であれば、何となく外国の音楽といったイメージがあるかもしれません。

実はここ日本において、世界に誇る名プレイヤーは多く輩出されていますし、素晴らしい名盤も数え切れないほどにリリースされているのですよ。

今回は、そんな日本人ミュージシャンによる「和ジャズ」の名盤を集めた内容でお届けします!

60~70年代を中心とした往年の名盤を中心として、90年代から00年代に発表された作品にも目を向けたラインアップとなっております。

海外のジャズとは一味違う、日本人ならではのジャズ・ミュージックをぜひお楽しみください!

もくじ

和ジャズのすすめ~日本人ジャズの名盤・オススメの1枚

ルパン三世 オリジナル・サウンドトラック

ルパン三世のテーマ大野雄二

ジャズ・ミュージックやアニメのサウンドトラックという枠内をこえて、日本人のDNAに刻まれているBGMであると断言してしまいましょう!

日本が誇るジャズ・ピアニストであり作曲家としても膨大な名曲を生み出し続けている大野雄二さんが手掛けた『ルパン三世のテーマ』は、たとえ作品を見たことがないという人であっても、どこかで必ず一度は耳にしている不朽の名曲ですよね。

本稿で紹介している『ルパン三世 オリジナル・サウンドトラック』は『ルパン三世』のテレビ第二期シリーズにおけるサントラであり、オリジナル版は1978年にリリースされてオリコンチャート8位を記録しています。

テーマ曲以外でもオシャレかつムードたっぷりの大野さん流儀のジャズ~ファンク・ミュージックがたっぷり楽しめる内容となっており、アニメのサントラならではの登場キャラクターのセリフが入っている、という趣向も楽しいですね。

あのゴダイゴのドラマーとしても著名なトミー・スナイダーさんが歌う、ポップなAOR調の『Lovin’ You(Lucky)』も良い雰囲気。

まずはこのアルバムから和ジャズの扉を開く、という選択肢も大いにありではないでしょうか!

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カリフォルニアシャワー

California Shower渡辺貞夫

日本のフュージョンは「和フュージョン」や「和モノ」などと呼ばれ、クラブ世代の音楽ファンにも大いに愛されている分野です。

本稿で紹介しているアルバム『カリフォルニアシャワー』は、世界基準の洗練されたオシャレなフュージョン・サウンドで日本のみならず世界中で大ヒットを記録したサックス~フルート奏者の「ナベサダ」こと渡辺貞夫さんの出世作!

1950年代から長きに渡りシーンをリードし続ける渡辺さんは、1960年代後半辺りから従来のジャズにとらわれないサウンドを展開、本作『カリフォルニアシャワー』はピアニストや映画音楽家として著名なデイヴ・グルーシンさんを中心とする、西海岸のミュージシャンたちがバックアップを務め、前述したように「和フュージョン」を世界に知らしめたエポックメイキング的なアルバムなのですね。

資生堂男性化粧品「ブラバス」のCM曲としても有名な表題曲をはじめとして、とにかく耳に残るポップでしゃれた味わいのメロディ満載の楽曲がずらりと並び、渡辺さんのメロディーメイカーとしての才能も存分に味わえる逸品です。

いわゆる4ビートの純然たるモダン・ジャズにはまだ苦手意識がある、という方は本作のようなクロスオーバー的な作品をまずは聴いて、ご自身のジャズ耳を鍛えてはいかがでしょうか?

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バタフライ

Tell Me A Bedtime Story笠井紀美子

1970年代の日本におけるジャズ・シーンにおける伝説的なシンガーであり、80年代以降のシティポップ歌手としても世界中の音楽ファンから熱い視線を浴びる京都出身の笠井紀美子さん。

音楽活動と並行してジュエリーデザイナーとしても活動していた笠井さんは、1998年に活動30周年を迎えたのと同時に音楽業界からきっぱり足を洗ってしまいますが、その潔さも含めて伝説たるゆえんと言えるかもしれませんね。

そんな笠井さんが1979年にリリースしたアルバム『Butterfly』は、ジャズ界の巨人ハービー・ハンコックさんと共同名義で発表され、時代を反映したフュージョンやディスコ・ミュージック、シティポップ的な感性で織り成す先鋭的なサウンドは、リリース当初はその価値が認められなかった面もあったそうです。

むしろ本作の評価は時がたてばたつほど高まるばかりで、幾度かのリイシューも行われ、現在では日本のみならず海外の音楽ファンからも愛される作品となりました。

ハービーさんの名曲を自分流に歌い上げる笠井さんの歌声はまさにマジカルな魅力を放ち、スティーヴィー・ワンダーさんの楽曲をカバーした『As』もナイスな出来です。

ジャズ・ファンはもちろん、シティポップに興味のある若い音楽ファンも必聴の1枚ですよ!

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キアズマ

ハチ山下洋輔

ヒジ打ちのピアノ演奏など型破りなプレイを駆使し、日本のフリージャズ界の先駆者としてシーンを席巻した山下洋輔さん。

フリージャズの分野に限らずオーケストラや和太鼓との共演、作曲家やエッセイストとしても活躍する山下さんは、まさに和ジャズの歴史にその名を刻む偉人の一人です。

そんな山下さんによる「山下洋輔トリオ」の絶頂期、1975年にドイツで行われた壮絶なライブの模様を記録した『キアズマ』は、70年代のフリージャズ時代における貴重な証言そのもの、と断言したいすさまじい熱量が迫りくる衝撃的なアルバムなのですね。

音楽理論や一般常識などあらゆる制約から解き放たれたかのように、縦横無尽に暴れ回る山下さんのピアノ、森山威男即さんのドラムス、坂田明さんのアルト・サックス……興演奏という音楽に慣れていない方であれば、何をやっているのか分からない単なる雑音にしか聴こえないかもしれません。

曲の終わりに収録された、耳の肥えた海外のオーディエンスの拍手喝采の反応を耳にすれば、どれほどの驚きを持ってこの音が迎え入れられたのかが理解できるはず。

聴き手の魂を解放するような演奏ですから、こちらも全身全霊で彼らの演奏に向き合うことをおすすめします!

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Blow Up

Aqua Marine鈴木勲

ジャズ・ミュージックにダンディズムやハードボイルド、色気といった要素を求める方であれば確実に聴いて頂きたい70年代日本ジャズの金字塔!

ジャズ・ベース~コントラバス奏者として知られ、80代後半を迎えた2020年代の現在もバリバリの現役プレイヤーとして活躍する鈴木勲さんが、1973年に発表した『Blow Up』を紹介します。

1973年度のスイングジャーナル「ジャズ・ディスク大賞・日本ジャズ賞」も受賞した本作は、鈴木勲さんを中心としてピアニストの菅野邦彦さん、ドラマーのジョージ大塚さんという凄腕のミュージシャンが集結し、ベーストリオが鳴らすスリリングかつドラマチック、迫力のアンサンブルを楽しめる名盤中の名盤としてジャズの歴史にその名を残すアルバムなのですね。

ベーシストの水橋孝さんが参加したツイン・ベースを味わえる楽曲もあり、ジャズ・ベーシストを目指す方であれば必ず一度は耳にしておくべき作品とも言えそうですね。

余談ながら、本作はその名演のみならず洗練されたジャケットのデザインや音質の素晴らしさといった面からも高く評価されており、可能な限り高音質の再生が楽しめる環境で、できればレコードを所有してジャケットの素晴らしさも堪能していただきたいところです!

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銀巴里セッション

Green Sleeves高柳昌行

日本のジャズ史、ひいてはフリージャズの歴史において、ギタリストにして前衛音楽家の高柳昌行さんは欠かすことのできない重要な存在です。

19歳という若さでプロの道へ進み、銀座のシャンソン喫茶「銀巴里」を主戦場とした音楽集団「新世紀音楽研究所」の活動では、あの山下洋輔さんや日野皓正さんといった人材を世に送り出しています。

本稿で取り上げている『銀巴里セッション』は、非常に難解な音楽スタイルであり、ジム・オルークさんといった先鋭的な海外のミュージシャンからも尊敬を集める高柳さんの名演を収めた貴重な1枚です。

1963年6月26日の深夜から翌日の早朝にかけて行われたセッションの模様なのですが、実は音源化を想定したパフォーマンスではなかったそうなのですね。

観客の一人が個人的に録音していたものであり、10年近く過ぎた1972年にレコードとしてリリースされたという経緯が非常に興味深い。

60年代当時のジャズといえば、いわゆるハードバップと呼ばれるファンキージャズのブームが訪れており、その裏でこういった音楽的な実験が試みられていたということは、和ジャズを深掘りしたい方にとっては知っておくべきものだと言えましょう。

ある程度さまざまなタイプのジャズを聴いた方が、本作を手に取ってみることをオススメします!

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